Columnコラム

【組織強化】執行役員の評価とインセンティブ報酬の導入

UPDATE:2021/05/17

昨今のコーポレートガバナンス重視の傾向から、企業統治は管理監督者としての取締役と業務執行の責任者としての執行役員を明確に分離する形態にシフトされている。ここでは、「雇用型執行役員の評価と報酬の基本構成」を考えてみたいと思う。

 

日本の執行役員報酬の問題点
日本の執行役員報酬の問題点として、取締役と同様に固定割合が高く、評価やインセンティブが機能していない点が指摘されている。従業員の役付けとしては社長に続き最高位に当たるため、双六の「上がり」感が出てしまっていて、安定性が高く、競争意識、危機感が働かないことが問題となる。社員の報酬制度が業績や成果連動型に向かっている中で、役員報酬について固定割合が高いのは、イノベーティブな構造改革が叫ばれている中で、大きなブレーキになる恐れがある。遡るところ2015年の国家戦略としての日本再興戦略で「攻めの経営」の促進として、持続的な企業価値向上に向けた役員のインセンティブ報酬導入の必要性があげられた。そして2019年より有価証券報告書における役員報酬に関する開示が拡充され(内閣府令)、役員報酬の適正化と我が国の役員報酬プログラムが企業価値向上へのインセンティブを付与する必要性の動きが活発化しているのである。

 

具体的には何を基準に評価するのか
一般的には、業績(成果)連動型が主流である。しかし変化の激しい環境の中での経営執行責任者の役割は、短期的な業績結果も重要だが、構造改革やイノベーション、企業価値向上のための中長期的な取り組みも重要となる。次世代リーダーの育成や執行役員としてのさらなる能力の向上も経営力向上には欠くことのできないことである。従って、企業の取り巻く環境やステージによって、下記のような評価軸をバランスよく評価していくべきと考える。

①担当部門業績(成果)評価
②部門計画実行度・組織運営評価
③求められる能力(トップマネジメント、リーダーシップ、ビジョン構築等)
④中長期的取り組み(イノベーション、新領域開拓、デジタル化推進、SDGs活動等)

 

報酬構成としては、「基本報酬+役付け報酬(役職手当)」が従業員報酬としての基本。年俸制を取り入れている企業が多いが、従来の年俸制は、経営陣としての個別の握り(コミット)になりがちで、ざっくりとしてあいまいで、短期的業績に引っ張られやすい傾向になっている。提案としては、基本報酬を分解して、「固定報酬+変動報酬」とし、変動報酬部分が評価により上下するテーブルを作る。執行責任者として責任が重いため、夢のある給与体系である必要があるが、ハイリスクハイリターン、成果責任に対しても増額減俸するルール作りをしておく必要があると考える。

 

 

【コンサルタントプロフィール】

wada 和田一男
(株式会社ブレインパートナー 代表取締役 組織変革・営業変革コンサルタント)
北海道小樽市出身。(株)ヒューマン・キャピタル・マネジメント取締役。大学卒業後、1985年(株)リクルート入社。2000年独立し、(株)ブレインパートナー設立、代表取締役就任。経営力強化、実行力強化支援、営業力強化コンサルティング、実行機能としての組織構築、組織変革コンサルティング、人材育成、人事評価制度構築、目標管理制度運用支援を行っている。著書「30歳からの営業力の鍛え方」(かんき出版,2006年)、「ドラッカー経営戦略」(明日香出版社,2012年)

 

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