Columnコラム

【経営・戦略】経営者の仕事

UPDATE:2016/05/26

一般に語られるマネジメントとは「ミドルマネジメント(中間層のマネジメント)」の事を想定しています。ドラッカーも「トップマネジメント(経営者)の仕事」については、別項で説明しています。経営者および役員などのトップマネジメントの仕事は、ミドルのマネジメントの仕事とは根本的に異なります。

ミドルのマネジメントの仕事は組織の基本単位の成果に集中します。部下を直接動かし、組織の成果を生み出します。 トップマネジメントも会社全体の成果に責任は求められますが、その範囲は幅広く、複数の仕事が同時に多階層で起こります。論理的な答えが求められる判断だけではなく、矛盾した複雑な事象に対する決断も求められます。 最も重要な役割について、ドラッカーは6つ述べています。

① 事業の目的を考える役割
 「われわれの事業は何か。何であるべきか」を考えなければなりません。
 すなわち、事業としての目標の設定、それを達成するための戦略と計画の作成、明日のための様々な意思決定という役割が派生します。これらの仕事は、企業全体を見て、その意思決定を行うことが求められ、短期と長期のバランス、成果に向けた人材と資金を配分する、ということができる立場の者だけが行うべき仕事です。「ドラッカーの5つの質問」をいつも自ら問い続けることが必要でしょう。特に現代においては、事業の社会性を明確にし、組織の末端まで浸透させ、仕事そのものを魅力的にしなければいけません。

② 基準を設定する役割、すなわち組織全体の規範を定める役割
 企業の目的と現実の実績の違いを見据えて、そのギャップとしての課題を設定し、取り組み続けなければなりません。
 またビジョンに基づく目指す姿を明確にし、行動を行う上での価値基準を設定しなければなりません。

③ 組織をつくりあげ、それを維持・発展する役割
  事業全体を見据え、組織構造を設計する役割があります。
 そして将来のための人材、明日の経営者を育成し、組織の信条・文化を作り上げなければなりません。トップマネジメントの行動、価値観、言動が、組織にとっての基準となり、組織全体の精神を決めます。そしてその魅力が社員、協力会社、外部からの求心力を産み出し、働く人々の活力を引き出すのです。  

④ トップの座にある者だけの仕事として、渉外の役割
  顧客や取引先、金融機関や行政との関係です。
 それらの関係から社会的信用、雇用、環境問題に対する姿勢についての決定や行動が出てきます。  

⑤ 公的行事や夕食会への出席など数限りない儀礼的な役割
  地域において目立つ存在になっている中小企業にとっては逃げられない、時間のかかる仕事です。
 決して経営者の主たる仕事とはなりえません。  

⑥ 重大な危機に際しては自ら出動するという役割、著しく悪化した問題に取り組む役割
  有事には最も経験があり、最も賢明で、最も秀でた者が責任者として前面に出なければなりません。
 法的な責任も問われることから、放棄することのできない仕事です。  

トップマネジメントが行う具体的な仕事の内容は、組織によって異なりますが、経営者として求められる範囲や責任は広範囲にわたり、多様な能力と資質、経験が求められます。ですから「組織の成功と存続にとって決定的に重要な意味を持ち、かつ経営トップだけが行える仕事は何か」、「事業全体を見ることができ、今日と将来の重要性のバランスを考えることができ、最終的な意思決定をなしうる者だけが行うことのできる仕事は何か」を考えるべきなのです。

上記に照らし合わせ、経営者は、自分以外の誰かがなしうる仕事があれば、必ず委任しなければなりません。
経営トップのみがやるべきトップマネジメントに集中すべきなのです。
そして、トップマネジメント全体の仕事がより複雑さを増していることから、トップ1人で抱え込まずに、複数の人間で分担するトップマネジメントチームで経営を行うことが必要であるとドラッカーは指摘しています。

 

【コンサルタント】和田一男

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