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【人材育成】リーダーシップスタイル

UPDATE:2015/12/17

私は、リーダーシップとは「ビジョンに向かって、自ら働きかけ、周囲を動かすこと」と定義しています。マネジメントが「公的な権力で、強制力があり、合理的、計画的で、現実的で確率の高い方法を選択すること」に対して、「私的な影響力で、人間性の上に成り立ち、共感性や価値観を軸に、理想を掲げて可能性を追求すること」がリーダーシップです。そうです、おおよそ反対の意味と捉えることができます。

リーダーは、組織の状況に応じて、マネジメントとリーダーシップを使い分けます。マネジメントは合理的で正解があり、スタイルが複雑ではないですが、リーダーシップは個人の人間性(個性)によってスタイルが大きく異なるようです。今回のコラムでは、リーダーシップスタイルの分類とその特徴。時代の変化によって、どのようなリーダーが求められるか、整理していきたいと思います。

リーダーシップスタイルを、「仕事への関与度の高さ」と「存在感」の2軸で分類すると、次のような4分類に分けられます。

図1

A.牽引型リーダー
伝統的なカリスマリーダー。強烈な達成意欲を持つ。
高い目標を掲げ、メンバーを鼓舞し続け、先頭を走りぬく、勇気や情熱にあふれたリーダー。

B.人格(理念)型リーダー
共に戦うというよりは、一段上から見守るリーダー。
理想や価値観に基づいたぶれない信念があり、その信念に共感したメンバーが従う。

C.触媒(ファシリテーター)型リーダー
有能かつ多様な人材を束ね、納得かつ協働を促し、相乗効果の高い成果を生み出すリーダー。プロジェクト活動や共同事業などで力を発揮する。
プロデュース型、ネットワーク型リーダーとも呼ばれる。

D.奉仕(サーバント)型リーダー
組織の背後から支え、ひとりひとりに奉仕することでメンバーを主役とし、信頼関係の下、成果の最大化を実現するリーダー。
サービス業など現場力重視の組織に重要な意味を持つ。

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かつてのリーダーは牽引型リーダーが多く存在していたと思います。アップルのスティーブ・ジョブスやダイエーの中内さん、CSKの大川さん、ここまでのソフトバンク孫さんもカリスマ・牽引型だったと思います。創業期から成長期に企業を方向付けし、拡大していく過程では、分かりやすい強烈なリーダーシップが必要だからでしょう。

人格型リーダーの前提となるのは、最近特に重要と認識され組織に導入が進んでいる「ウエイマネジメント」。混迷の時代には、ミッション・ビジョン・バリューなどを明確にし、従業員全体の方向性を整え、一体感を醸成するリーダーシップが必要です。三国時代の劉備玄徳のように、信義、道理、器量を示し続ければ、優秀な部下を従わせることができるということです。

仕事を行うのが、常に上司・部下という上下関係でない場合も多く存在します。社内横断型プロジェクトや社外との共同事業など、優秀な人材の強みを引き出したり、複雑な関係を調整したり、高度なマネジメントと場に応じたリーダーシップが求められます。触媒型リーダーは、今後様々な場面で拡がっていくスタイルと言えます

サーバント型は、主役は従業員で、リーダーが後方から支えるという新しいスタイルです。飲食業やサービス業、建設業など、現場でスタッフが気持ち良く働いていただくことが成果に直結するような、仕組みのビジネスでは主流です。権限移譲することによって現場のスピードが上がり、お客様に柔軟に対応できることを可能とします。サッカー日本代表の長谷部主将や佐々木則夫監督などもこのスタイルではないでしょうか。NPOやNGO、ボランティア組織などもこのスタイルのリーダーシップが多くとられているように思えます。

以上説明してきましたように、創業期~成長期には牽引型リーダーが求められる傾向があり、成熟期には触媒型や奉仕型がビジネスの形態によって選ばれ、変革期には人格(理念)型もしくは牽引型が求められる必然性があるように思えます。時代の流れというよりは、その会社(事業)のライフ(サイクル)ステージによって求められるリーダーの必然性があるので、1つのスタイルしか発揮できないリーダーは、ステージが変わった時に力が発揮できない、リーダーとして適性を欠く場面が多く表れるでしょう。リーダーは組織の役割です。個人の好き嫌い、合う合わないでスタイルを選ぶこと自体が本質とずれているということです。

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