Columnコラム

【経営・戦略】カリスマとしてのリーダー像を考える

UPDATE:2014/02/06

松下幸之助、井深大、本田宗一郎、稲盛和夫、柳井正、孫正義、カルロス・ゴーンなど、多くのカリスマ経営者が日本の産業をリードしてきました。
その社会的影響力、言動は注目を集めてきたので、その時代の記憶に深く刻み込まれています。一方で、隆盛を極めた会社を凋落させたカリスマ経営者も多くいます。
その違いは何だったのでしょうか。

 

ダイエーが産業再生機構入りし、実質的経営破綻となってから今年で10年になります。
故中内功は大阪の千林商店街に激安店として「主婦の店ダイエー」を1957年に始めます。
そのダイエーは、15年後三越を抜いて、日本一の小売業者にのし上がります。
中内功は、「流通革命」を掲げ、製造業と戦い、全国に売上高5兆円という最大の流通帝国を築き、経団連の副会長まで務めます。
そのカリスマ経営者も時代の変化に対応できず、有利子負債最大2兆6000億円まで膨らませ、2001年にはすべての財産を差し押さえられ、失敗経営者の烙印を押され、産業界から追放されます。
失意のうちに翌年83歳でこの世を去ります。ワンマン経営の歪み、土地本位主義への妄信、事業承継の失敗など語られますが、その本質は何だったのでしょうか。

 

また同じ時期に西武王国として君臨していた堤義明。
全国にホテルやゴルフ場作り、現場のすべて細かいところまで指示を出していたといわれます。
堤氏がホテルの視察に行くとお客様のためではなく、堤氏のために玄関から赤いじゅうたんが敷き詰められたと言われます。
その堤氏も2004年西武鉄道の有価証券報告書の虚偽記載の責任を取って辞任しました。共通点は何だったのでしょうか。

 

中内の同時代にライバルとしてしのぎを削っていた伊藤雅俊のイトーヨーカ堂は、早くから鈴木敏文に権限を委譲し、セブン&ホールディングスとして、業態を拡げながら発展しています。

パナソニック、ホンダ、ソニーは苦しみながらも、継承、発展しています。
ユニクロやソフトバンクなどはこれからが正念場となるのでしょうか?

混沌とした時代、変化に対応していくためにカリスマ的存在に頼り、「カリスマ的リーダー」だから成功した事例もあるでしょう。
戦後の混乱期から、新しい産業を立ち上げた起業家たちは、ワンマン経営者として、自分の人生を賭け、ものすごいスピードで企業を成長させてきました。
中内功の拡大主義や人間不信も強烈な戦場体験があったからと語られています。
そしてその「餓鬼」の心の深部が一転、優秀な人材の登用や事業継承を遅らせ、拡大路線を止められず、2兆6000億円という「国家を人質にとった」と言われる天文学的有利子負債となったのでしょう。
変化対応行業と言いながら、中央集権的管理が強くて、現場が変化に対応できなくなっていました。

 

リーダーシップにはタイミングや賞味期限があると言われます。
ダイエーや西武のように「カリスマ的リーダー」が長く続いたから上手くいかなかった例もあります。
カリスマ的リーダーが強烈で恐怖政治が続くと、部下はその意思決定に頼ることになり、思考停止状態の幹部に囲まれるとも言われます。
いかなる偉大な経営者も必ず引退の時を迎えます。経営者にとって、自らの引退と後継者への引き継ぎこそが究極のテーマとなります。
高齢者となっても元気で、平均寿命が伸びているこの時代こそ、経営者の引き際が重要です。
「老害」を社内外で巻き散らかしている経営者も残念ながら存在します。井深大は63歳の時に社長を退き、本田宗一郎は67歳の時に後任にバトンタッチしています。
ユニクロもソフトバンクも次代の経営者養成機関を立ち上げ、経営者育成を行っています。

 

ドラッカーは、「これからはカリスマの時代ではなく、チーム経営の時代」と言います。
スピード重視の時代、カリスマ型リーダーのスピード感を補完できる求心力はどう作るのでしょうか。
リーダーシップに対抗するフォローワーシップをどうバランス取ったらよいでしょうか。過去の経営体制や組織運営、スポーツの例などを参考にしながらぜひ考えてみてください。

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