Columnコラム

【経営・戦略】徹底力~中小企業の成長に必要な絶対法則③

UPDATE:2009/05/25

強い企業といつまでも発展性のない企業の違いはどこにあるか。
私が現場を通じていつも感じるのは、「徹底力」の差である。

30名以下の企業で構想力を持ったリーダーはそんなに必要ない。殆どの場合、社長が直接掛け声をかけているからである。
しかし、50名以上になるとマネジャーの役割が大きくなる。

社長の意図を汲み取って、全体を考えた上で、その役割範囲で現場に徹底させる、そのマネジメント力こそが極めて重要である。
ミドルマネジメントとは、上位概念を役割別に分解し、部下の実行ベースに置き換える、翻訳機能なのである。しかしそこが弱い。

自分で考えて、自分の言葉で伝えられない。言葉に魂がこもっていない。真剣にやり遂げようと思っていない。下手をすると、
言われた事すらやらない、言い訳・かわす事の術だけが上達する。そんな実態を社長も諦めていたりする。
社長すら何時しか言わなくなる。そんな状態の企業がこの厳しい環境の中で、変革できるはずがない。

後発優位と言われる業界の中で、オンリーワンで生き残れるはずがない。
経営者に相談され、幹部育成を依頼されても、教育以前の問題である。
しかしこれがほとんどの中小企業の実態である。

 

そこで、どのようにして、この実態を打ち破るか。業界の中で突き抜けるか。
一言で言うと、「徹底する風土」を染み付かせる。逃げられなくする。追い込む事である。
約束した事は絶対守らせる。その事を仕組みの中に組み込む。メインとなるのが会議の改革である。
「目標管理によるマネジメント」を会議の中で徹底的に実践、突き詰める事である。

3年単位で中期経営計画が掲げ、1年単位で年度方針・目標を設定し、半期で人事評価制度と連動し、四半期で目標を展開、
それを月間で割り振って目標を立てる。
その事が全社、事業部、課、グループまで、全体と各部分が納得した目標で連鎖している関係を深く結ぶ。
しかし、目標は上から降りてくるもの。全社は関係なく、眼の前の仕事だけを一生懸命やっている。

「どうせ頑張ったって、評価されない。」
現場はいつも被害者意識にある。このような状態では、従業員の能力が充分に発揮されるはずがない。
利益は現場から生み出されるのです。

目標達成と評価制度、日常マネジメントが密接に連動し、現場のもてる力を充分に引き出す仕組みが重要である。
また与えられたノルマではなく、主体的に掲げる目標、そして達成するための経営計画を自ら立案できるということも
不可欠なスキルとなる。

具体的には、経営計画を組織長、その部下も作成し、発表(宣言)する。自ら仮説を立てて、意識的に業績を作る。

その(月間の)計画書の構成は、
①先月の振り返り、
②今月の方針・目標の確認、
③達成が確信できる戦略の立案、
④戦略を支える具体的な戦術、
⑤戦術を時系列に置いた実行計画、

以上を毎月、毎Q、毎年作成し、上司とすり合わせ、会議で発表する。会議で発表した事、決めた事は絶対実行する。
会議ごとに議事録を必ず作成し、何を、誰が、いつまでやるか、そのチェック方法を「コミットメントリスト」として、議事録に添付し、
次回の会議で報告をさせる。

中小企業の場合、紙(データ)ベースでの記録に弱い部分があるが、文書で残す習慣を徹底しなければ、
責任の所在もあいまいになるため、マネジメントが強くならない。

以上の事を組織内の常識にし、その中身の戦略立案力、課題解決力を必然性ある日常で鍛えていくのである。
信じられるかどうかのポイントは、実行計画が具体的で、行動ベースに落とされている事。抽象的な約束は絶対守られない。
ゴールが明確で、やったかやらなかったかはっきりわかる事。あいまいな事は、チェックも指導も管理もできないからである。

新しい風土・文化にするためには、その風土・文化を体験した人材が必要となる。見た事のない世界には、誰も導いてくれない。
残念ながら、内部人材からは変革不可能である。

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