Columnコラム

【人材育成】「目標による管理」の正しい導入方法

UPDATE:2017/10/02

●「目標による管理」は嫌われ者
弊社は様々な企業様に「人事評価と目標による管理の仕組み」を導入しています。経営計画を作り、その計画に沿って部門計画を作る。部門計画に沿って、各グループ、個人の目標へと展開する。個人の目標が達成すれば全体の目標も達成するように、有機的に結び付けます。その目標に意味を持たせるために、人事評価制度と連動させます。当たり前のようなこの仕組みが関わるほとんどの企業でできていません。そして意味ある計画、目的を持った目標を設計しようとすると管理職からの抵抗感も意外と多いのです。


●正しい「目標による管理」とは

1954年ドラッカーの「現代の経営」の中で紹介され日本に伝わってきたマネジメント手法です。一般的には「目標の管理」というように誤解され、上司が売り上げ目標を細分化して、個人のノルマとして割り付け、その達成を厳しく管理するという意味で使われてきたようです。従って、目標管理という言葉を知らない人は少ないです。しかし正しくは、「目標と自己統制によるマネジメント」の意味で、命令や強制ではなく、自主性や自己統制に基づいて目標を達成するという仕組みです。組織の中の一人一人が自分の所属する部署の目標を自分のものとして理解し、その目標を達成するために自分は何をしたら良いのかを考えて計画を立てます。そして、各人が立てた目標達成のための計画を、自ら実行することにより、結果として所属部署の目標も達成されます。目標が上から押し付けられるのではなく、各人が自分で考え納得したものになるので、ヤル気を持って、創意工夫をして(自発的、主体的に)取り組むことができるようになります。管理職からの抵抗感は「忙しさ」です。「忙しくて取り組めない」違います。「正しい目標よる管理を運営していないから、忙しいのです」と答えています。


●決め手となる3つのポイント

1)目標の意味
目標は目的を達成するための手段です。企業における目的が共有され、仕事と目標と責任をうまく結びつけることができれば、個人が自ら高い目標を掲げるでしょう。意味も伝えられず目標を与えれば、義務となり、できるだけ楽な目標を欲します。事業は外部と熾烈な競争を繰り広げています。社員一人一人に問題意識・危機感、その戦いへの参加意識をいかに持たせられるかが重要です。

2)個々の自律性と自己責任

経営(組織)への参加意識があるから、自ら考え、自ら創意工夫をし、自らを管理します。マネジメントは部下を信頼でき、管理から支援に置き換われます。

3)内発的動機
知識労働者の生産手段は頭脳です。外部から管理できません。だから、内発的動機が重要です。仕事そのものが面白くなくても楽しく仕事をしている職場はたくさんあります。マネジャーとして、仕事の納得感・責任感、目標を乗り越える達成感、仕事を通じた成長感など精神的報酬をいかに感じさせることができるか、「給与以外の報酬」この領域の重要性がますます高くなっています。

もちろん、コミュニケーションスキル、動機付けスキル、計画報告会議の仕組み、CAPDの回し方など、多くの管理職教育も必要です。ミッション・バリュー・ビジョンの明確化、人事評価制度の運用強化も必要です。しかし、正しい目標による管理の導入で、個人も組織も急速に自律化し始めます。
「自己管理によるマネジメントこそ、共同の利益を全員の目標に代えることのできるものである」
「自己目標管理こそマネジメントの哲学たるべきものである」ということなのでしょう。

【コンサルタントプロフィール】

wada 和田一男
(株式会社ブレインパートナー 代表取締役 組織変革・営業変革コンサルタント)
北海道小樽市出身。(株)ヒューマン・キャピタル・マネジメント取締役。大学卒業後、1985年(株)リクルート入社。2000年独立し、(株)ブレインパートナー設立、代表取締役就任。経営力強化、実行力強化支援、営業力強化コンサルティング、実行機能としての組織構築、組織変革コンサルティング、人材育成、人事評価制度構築、目標管理制度運用支援を行っている。著書「30歳からの営業力の鍛え方」(かんき出版,2006年)、「ドラッカー経営戦略」(明日香出版社,2012年)

 

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